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天野 光; C.T.Garten-Jr.*
Fusion Technology, 21, p.700 - 705, 1992/03
米国オークリッジ国立研究所放射性固体廃棄物処分場から地下水を経て周辺の森林に移行したトリチウムを1年間にわたって調査解析した。調査した森林は、楓・楡・花みずき等の落葉樹林帯である。森林内の空気中トリチウム濃度は、トリチウムを含む地下水の水位及び樹木からの蒸発散量に依存し、高度依存性及び季節依存性を示した。森林からのトリチウムの総蒸発散量も地下水位及び季節に依存し、植物の光合成の盛んな季節では、総蒸散量は土壌表面からの総蒸発量の約100倍に達したが、冬季には表層土壌からの蒸発量は樹木からの蒸散量を上まわった。表層土壌水中トリチウム濃度は、地下水位の変動の約2ヶ月の時間遅れで変動した。また表層土壌中トリチウム濃度が表層大気中トリチウム濃度を現定している。
山西 敏彦; 奥野 健二; 榎枝 幹男; 天野 順造; 林 巧; 成瀬 雄二; Sherman, R. H.*
Fusion Technology, 21(2P2), p.948 - 953, 1992/03
被引用回数:3 パーセンタイル:35.31(Nuclear Science & Technology)深冷蒸留塔の動特性及び塔カスケードの分離特性を、H-D-T系で(1.5gトリチウム)で測定した。用いた塔は、内径2cm、1cm、充填高さ50cmの2種類であり、2cmの塔には3mmのDixon Ringを、1cmの塔には1.5mmのDixon Ringを充填した。塔の定常における塔頂及び塔底での組成は、2塔カスケード運転、単塔運転にかかわらず、両方の塔に関して、実験値とステージモデルによる計算値が良い一致を示した。測定されたHETPの値は3~6cmであった。又、単塔運転では約2時間で定常組成に達し、2塔カスケードでは定常到達に約6時間を要することを認めた。単塔及び2塔カスケード運転に共通して、塔底での組成の時間変化は、計算値と実験値で一致した。一方塔頂においては、計算値に比して実験値の時間変化が遅く、コンデンサーのホールドアップがかなり大きいことを認めた。
佐伯 正克; 平林 孝圀; 荒殿 保幸; 中島 幹雄; 正木 信行; 立川 圓造
Fusion Technology, 21, p.806 - 811, 1992/03
これまでに発表した、トリチウムと材料の化学的相互作用に関する研究成果を、まとめ総説したものである。まず、トリチウムの材料中における化学形を、4種類に分類した。第1は、材料中で化学結合しているトリチウムであり、炭素材料、Si、SiO、ガラス中などに確認された。第2は、分子状(DT,T等)で捕捉されているトリチウムであり、ArスパッタしたSUS表面等に認められた。第3は、原子状トリチウムであり、中性子照射したLiF中で、第4は、局在しているトリチウムでLiAl合金中の相やSUS321鋼のTi部分で観察された。次に、これらの存在状態や材料の化学的あるいは物理的性質が、トリチウムの拡散挙動におよぼす効果について、例を挙げて述べた。
須貝 宏行; Z.Miao*; 加藤 岑生; 工藤 博司
Fusion Technology, 21, p.818 - 820, 1992/03
中性子照射した金属間化合物LiAl結晶中のトリチウムの拡散係数Dは、699Kから886Kの範囲で、D=7.810exp[-(1039.8)kJ/mol]cmsとなった。ここで、LiAl中のトリチウムの拡散に関する活性化エネルギーは、格子間機構に従うAl中の水素の拡散に関する活性化エネルギーより大きい。このことは、空孔機構で説明できる。すなわち、トリチウム(T)の拡散速度に、置換型欠陥(Li格子点上のAl原子)が影響を与えると解釈できる。
井上 雅彦; 小西 哲之; 山西 敏彦; 大平 茂; 渡辺 哲郎*; 奥野 健二; 成瀬 雄二; Sherman, R. H.*; Barnes, J. W.*; Bartlit, J. R.*; et al.
Fusion Technology, 21(2P2), p.293 - 298, 1992/03
被引用回数:3 パーセンタイル:35.31(Nuclear Science & Technology)TSTA(Tritium Systems Test Assembly)の水素同位体分離システムは、4本の深冷蒸留塔より構成され、核融合燃料サイクルにおいて高純度T,D,及びDTを得ると共に、トリチウムフリーのHを除去することを目的に設計されたものである。しかるに実際の核融合炉では、高純度DT及びTは必ずしも必要としないことが予想され、この場合、4塔カスケードを3塔カスケードに縮小することが可能である。本実験では、この3塔カスケードの分離特性を検討した。実験は、21.5gH, 280.1gD, 84.5gTを用い、6日間連続で行われた。その結果、塔が1本減少したことでシステムの安定性が大きく向上し、又、本3塔カスケードが達成すべき分離性能(高純度Dを得る。トリチウムフリーのHを除去する。)を満足することが実証された。本3塔カスケードは、核融合燃料サイクルの水素同位体分離システムとして有効である。
平田 一弘*; 松本 昭*; 山西 敏彦; 奥野 健二; 成瀬 雄二; 山本 一良*
Fusion Technology, 21(2P2), p.937 - 941, 1992/03
被引用回数:26 パーセンタイル:88.96(Nuclear Science & Technology)トリチウムを含む水素同位体の分離において、熱拡散法は、装置ならびに運転方法の簡便さやトリチウムインベントリーが少ない等の利点を持ち、将来の核融合装置などへの適用が期待されている。しかしその反面、インベントリーが少ないということは、処理量が少なく大量の分離操作には難点がある。深冷壁熱拡散塔は、冷壁の温度を従来の水冷からより低温にすることにより、分離係数が飛躍的に向上されるというものである。このことは最近理論的に示され、実験による確認も徐々になされている。本報告では、外壁の冷却材として液体窒素を用いた実験装置での、全還流による性能を調べ、深冷壁の効果を確認すると共に、処理量の増大のために連続処理運転方法の確立を念頭に置き、処理ガスの供給位置における熱拡散塔の性能を中心に調べたものである。
中村 卓也; 平田 一弘*; 山西 敏彦; 奥野 健二; 成瀬 雄二
Fusion Technology, 21(2P2), p.942 - 947, 1992/03
被引用回数:2 パーセンタイル:27.46(Nuclear Science & Technology)トリチウムプロセス研究棟では、熱拡散塔による同位体分離法を他の実験装置で使用し薄まったトリチウムを分離回収する目的で開発した。本装置を使いトリチウムを実際に回収するにあたり、熱拡散塔の最適運転条件を分離性能、平衡時間塔を考慮に入れて決める必要がある。今回の試験では熱拡散塔における分離性能を決める要因のうち、塔内圧力に着目し、単塔における分離係数の測定を二成分系(同位体平衡で実質三成分系)のガスD-T、H-T、H-Dそれぞれについて行い、圧力依存性を調べた。次に4本の塔をポンプで連結し、圧力依存性・塔内分布を調べた。その結果、ポンプで連結された4本の塔内濃度分布は、4本の塔を1塔として長さだけ4倍した計算結果と良く一致した。
林 巧; 天野 順造; 奥野 健二; 成瀬 雄二
Fusion Technology, 21, p.845 - 849, 1992/03
トリチウムの長期的使用・貯蔵保管に耐える材料選択・開発を行なう場合、材料中の崩壊ヘリウム(He)の挙動に関する知見はトリチウムの挙動と共に重要である。本報では、当研究室で開発・実用化したジルコニウムコバルト合金を用い、そのトリチウム化物(ZrCoTn)からのHeの放出挙動を約1年半にわたり調べた。実験には各0.5gのZrCoを用いた小型のトリチウム貯蔵容器を使用し、ZrCoTnの放置温度(293-523K)、トリチウム化率(0.3,1.4)、および水素の吸放出回数(1,10)をパラメータとしてHeの放出量を圧力の経時変化と定期的ガス分析により測定した。結果、上記実験条件下でHeの放出率は全崩壊トリチウム量の約3%以下で、実験期間中ほぼ一定であった。さらに、ZrCoTn中のHeは、873Kまで昇温してほとんどのトリチウムが解離・崩壊しても放出されなかった。